2006年07月25日
愛の行方
あれは20年ほど前、
私がまだ駆け出しのB級ホテルマンだった頃のお話。
始めたばかりの摸会でいつもの様に仲間と飲んだくれ、
中之町の経済活動にささやかながら貢献し家路に着いたが、
中途半端な酔いが災いし、トドメの酒を求めて知らないバーに入る。
女性が一人で店番をしているしょぼくれたバーである。
ビールを注文し飲み始めたが、しょぼくれたバーのその女性が
あの時の人であることを思い出すのに、そう時間はかからなかった。
彼女もすぐに私を思い出してくれた。
と、ここまで書くと読者諸氏は「この二人何かあったな」と
アヤシゲな想像をするであろうが、そうは問屋が卸さぬ。
話を続けよう。
「あれから・・・・」と私
「まだ迎えに来ないの」
と寂しげな笑顔を浮かべ答える彼女の目は、
まだ見ぬ遠い外国を見つめているようだ。
これは「もう迎えに来ない」
と同義語だと悟った私はすぐに店を辞去した。
トドメを刺すどころかすっかり酔いがさめた私は、
今度は間違いなく家路に着いた。
アスファルトの路面が今やんだばかりの雨で濡れて光っていたのが印象的だった。
そこからさかのぼる事2年前、
しょぼくれバーの彼女はカレシと1週間ほど本デイゴホテルに滞在した。
最初は夫婦だと思った。
まるでこの1週間という期間が
二人の人生で限られた最後の時間だと思わせるほどに仲睦まじかった。
聞けばまだ恋人同士で、もうすぐ結婚するのだという。
そうだろう、そうだろう、誰しもが違和感なくそう思う。
カレシの方は米軍人さんである。沖縄での駐留が終わり本国へ帰国するという。
当時彼らは移動前には必ず1週間程度の休暇とホテル住まいが
認められていたので、二人で最後の沖縄の滞在を楽しんでいたのだ。
彼女の方は当時何をしている人だったか忘れたが、
カタギ(普通のOL)の女性だとうっすら記憶する。
美人ではないが明るく気立てがよく、彼女ならよい家庭を作る。
将来間違いなく「ウチナーオバー」になれる人材だ。
カレシの方が先に本国へ行き色々面倒な手続きが済み次第、
すぐに迎えに来ることになっているとだという。
私は二人からこの事を聞いている。
そして夢のような1週間があっという間に過ぎ、その時は来た。
見送りの彼女は一時の別れのつらさとすぐに一緒になれる希望を胸に抱き、
しばしの別れにむせび泣いた。数週間の辛抱だ。
そしていつまでたっても彼は迎えに来なかった。
これが永遠の別れになろうとは神さえも知らなかったに違いない。
この話はここで終わるが。当時のコザではよくある話かもしれない。
B級ホテル屋をやっていると、時々人の人生の一部に触れることがある。
この展開でいくとカレシの方が悪者に仕立て上げられるのが常道だが、
私は彼氏を批判する気になれない。なぜなら
私は彼らの愛の形も内面も約束事も知らないし、
どのように破綻したかも正確には知らない。
国際結婚の難しさはいろんな形で耳にする。
言葉の障壁・文化慣習の違い・距離という物理的障壁。
男女の愛の形は相対性理論よりも難しい(どっちも解からん)。
アインシュタインにだって解けないに違いない。
ヒトは幾度かの恋愛や失恋を経て大きくなり、
相手に対する愛や慈しみを理解し成長していくのだ。
そのことに気づく頃、大抵のヒトは旬を過ぎているのだ。
完
参照
愛とは決して後悔しないこと
映画「ある愛の詩」でライアンオニール
君の為なら死ねる
愛と誠の誠
女と車の運転は似ている。いずれは衝突する
バート・レイノルズ
俺より先に死んではいけない
「関白宣言」さだまさし
恋愛は空気のようなもの。
いても邪魔にならないがいないと困る
なんもせんむ
*文中の表現に誇張と想像があった事は認めます。まあ気にしない!
私がまだ駆け出しのB級ホテルマンだった頃のお話。
始めたばかりの摸会でいつもの様に仲間と飲んだくれ、
中之町の経済活動にささやかながら貢献し家路に着いたが、
中途半端な酔いが災いし、トドメの酒を求めて知らないバーに入る。
女性が一人で店番をしているしょぼくれたバーである。
ビールを注文し飲み始めたが、しょぼくれたバーのその女性が
あの時の人であることを思い出すのに、そう時間はかからなかった。
彼女もすぐに私を思い出してくれた。
と、ここまで書くと読者諸氏は「この二人何かあったな」と
アヤシゲな想像をするであろうが、そうは問屋が卸さぬ。
話を続けよう。
「あれから・・・・」と私
「まだ迎えに来ないの」
と寂しげな笑顔を浮かべ答える彼女の目は、
まだ見ぬ遠い外国を見つめているようだ。
これは「もう迎えに来ない」
と同義語だと悟った私はすぐに店を辞去した。
トドメを刺すどころかすっかり酔いがさめた私は、
今度は間違いなく家路に着いた。
アスファルトの路面が今やんだばかりの雨で濡れて光っていたのが印象的だった。
そこからさかのぼる事2年前、
しょぼくれバーの彼女はカレシと1週間ほど本デイゴホテルに滞在した。
最初は夫婦だと思った。
まるでこの1週間という期間が
二人の人生で限られた最後の時間だと思わせるほどに仲睦まじかった。
聞けばまだ恋人同士で、もうすぐ結婚するのだという。
そうだろう、そうだろう、誰しもが違和感なくそう思う。
カレシの方は米軍人さんである。沖縄での駐留が終わり本国へ帰国するという。
当時彼らは移動前には必ず1週間程度の休暇とホテル住まいが
認められていたので、二人で最後の沖縄の滞在を楽しんでいたのだ。
彼女の方は当時何をしている人だったか忘れたが、
カタギ(普通のOL)の女性だとうっすら記憶する。
美人ではないが明るく気立てがよく、彼女ならよい家庭を作る。
将来間違いなく「ウチナーオバー」になれる人材だ。
カレシの方が先に本国へ行き色々面倒な手続きが済み次第、
すぐに迎えに来ることになっているとだという。
私は二人からこの事を聞いている。
そして夢のような1週間があっという間に過ぎ、その時は来た。
見送りの彼女は一時の別れのつらさとすぐに一緒になれる希望を胸に抱き、
しばしの別れにむせび泣いた。数週間の辛抱だ。
そしていつまでたっても彼は迎えに来なかった。
これが永遠の別れになろうとは神さえも知らなかったに違いない。
この話はここで終わるが。当時のコザではよくある話かもしれない。
B級ホテル屋をやっていると、時々人の人生の一部に触れることがある。
この展開でいくとカレシの方が悪者に仕立て上げられるのが常道だが、
私は彼氏を批判する気になれない。なぜなら
私は彼らの愛の形も内面も約束事も知らないし、
どのように破綻したかも正確には知らない。
国際結婚の難しさはいろんな形で耳にする。
言葉の障壁・文化慣習の違い・距離という物理的障壁。
男女の愛の形は相対性理論よりも難しい(どっちも解からん)。
アインシュタインにだって解けないに違いない。
ヒトは幾度かの恋愛や失恋を経て大きくなり、
相手に対する愛や慈しみを理解し成長していくのだ。
そのことに気づく頃、大抵のヒトは旬を過ぎているのだ。
完
参照
愛とは決して後悔しないこと
映画「ある愛の詩」でライアンオニール
君の為なら死ねる
愛と誠の誠
女と車の運転は似ている。いずれは衝突する
バート・レイノルズ
俺より先に死んではいけない
「関白宣言」さだまさし
恋愛は空気のようなもの。
いても邪魔にならないがいないと困る
なんもせんむ
*文中の表現に誇張と想像があった事は認めます。まあ気にしない!
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コザのB級ホテルに生息する「なんもせんむ」さんのブログ・コメントにあったセリフ「...
純情な米兵【沖縄情報ハイサイ満載通信ブログ【ゆくログ】】at 2006年07月26日 03:02
この記事へのコメント
先輩、素晴らしい内容のお話ですが、
一つだけ指摘させて下さい。
>君の為なら死ねる
愛と誠の誠
このセリフを言ったのは「愛と誠」の誠ではありません。
愛に想いを寄せるサブキャラ・岩清水です。
一つだけ指摘させて下さい。
>君の為なら死ねる
愛と誠の誠
このセリフを言ったのは「愛と誠」の誠ではありません。
愛に想いを寄せるサブキャラ・岩清水です。
Posted by わうけいさお at 2006年07月25日 18:07
おおっ!
ナイスツッコミ!!わうけ流!!!
専務流、せつなくもコミカルなコザの恋物語。更新楽しみにしてますよ〜。
ナイスツッコミ!!わうけ流!!!
専務流、せつなくもコミカルなコザの恋物語。更新楽しみにしてますよ〜。
Posted by ジャン at 2006年07月25日 20:03
ううっ! 不覚じゃ! 怪しい記憶だったのだ。
そして何よりも不覚だったのは、
わうけ大先生の存在と性格をころっと忘れてた。
カンニングがばれた学生の気分だ。
ところでこの手の話はコザにはたくさん転がっている。
中には子供までこさえて、去っていく奴も少なくなかった。
センター通りのバーで働くしたたかな「子連れ女狼」達は
毎夜の如く純情な米兵を引っ掛けては、朝まで飲ませて
合法的にドルをふんだくり(彼らにとっては微々たる物)
そして朝方ホテルのレストランでメシをおごらす。
ついでに寝ている子供もたたき起こし、メシをおごらす。
子供はここぞとばかり「Bランチ」を注文する。
そうやってコザの朝が始まってゆくのであった。
強きはコザの女なり!
そして何よりも不覚だったのは、
わうけ大先生の存在と性格をころっと忘れてた。
カンニングがばれた学生の気分だ。
ところでこの手の話はコザにはたくさん転がっている。
中には子供までこさえて、去っていく奴も少なくなかった。
センター通りのバーで働くしたたかな「子連れ女狼」達は
毎夜の如く純情な米兵を引っ掛けては、朝まで飲ませて
合法的にドルをふんだくり(彼らにとっては微々たる物)
そして朝方ホテルのレストランでメシをおごらす。
ついでに寝ている子供もたたき起こし、メシをおごらす。
子供はここぞとばかり「Bランチ」を注文する。
そうやってコザの朝が始まってゆくのであった。
強きはコザの女なり!
Posted by なんもせんむ at 2006年07月26日 01:36
>センター通りのバーで働くしたたかな「子連れ女狼」達は
>毎夜の如く純情な米兵を引っ掛けては、朝まで飲ませて
>合法的にドルをふんだくり(彼らにとっては微々たる物)
>そして朝方ホテルのレストランでメシをおごらす。
>ついでに寝ている子供もたたき起こし、メシをおごらす。
>子供はここぞとばかり「Bランチ」を注文する。
>そうやってコザの朝が始まってゆくのであった。
>強きはコザの女なり!
漫画「BEE-BOP海賊版」(まんひるめめおか著、講談社)
の中の格言
「男、それは女に奉仕するだけの
あわれな生き物である」
を思い出しました。
>毎夜の如く純情な米兵を引っ掛けては、朝まで飲ませて
>合法的にドルをふんだくり(彼らにとっては微々たる物)
>そして朝方ホテルのレストランでメシをおごらす。
>ついでに寝ている子供もたたき起こし、メシをおごらす。
>子供はここぞとばかり「Bランチ」を注文する。
>そうやってコザの朝が始まってゆくのであった。
>強きはコザの女なり!
漫画「BEE-BOP海賊版」(まんひるめめおか著、講談社)
の中の格言
「男、それは女に奉仕するだけの
あわれな生き物である」
を思い出しました。
Posted by わうけいさお at 2006年07月31日 08:17
