2008年07月09日

恥ずかしかったこと=青春の思い出

20数年前。名古屋の大学に通う大志を抱く青年だった頃のハナシ。

親元を離れ名古屋で4年間大学生活を過ごした。
初めての1人暮らし。
当初は、小うるさい親元から離れた開放感と1人暮らしの気軽さで、(女なしの)青春を満喫するが、それもつかの間。しばらくすると、炊事、洗濯、家計のやりくり全てが自己責任の1人暮らしの労苦と侘しさと人生の厳しさを実感する事となった。当然貧乏困窮生活であった。
今の僕が、怠惰ながらも何とか人並みの社会生活を過ごせているのも、あの頃の経験に依る所が大きい。

よって夏休みにはコザへ帰省するのであるが、交通手段は飛行機しかない。
当時は今ほど複雑な割引制度などなく、季節を問わず料金は均一でチケットの種類は往復割引、団体割引、回数券位のものであった。貧乏学生の家計にとっては大きな出費である。
しかし、世間は志し高き貧乏青年を見捨てない。スカイメイトなる有難き制度があった。
全国全路線全便空席さえあれば、50%割引。しつこいようだが半額である。
この制度は大いに利用させてもらった。

しかし、22歳になると同時にその権利が失効する。大切な童貞を失うかのごとく…。
そこで登場するのが偽造スカイメイトカード。
当時はおおらかゆえ、イマドキのtaspoのような訳の分からぬ官僚根性丸出しのコザカシイ審査などしない。

その手口はこうである。

カードの発行には、一応証明書の提出が義務付けられているので、年齢の証明として保険証を使用する。当時の保険証はカードではない。紙製。ここがミソなのだ。
保険証をコピーする。そしてその保険証のコピーの生年月日の生年の項を修正液で消し、その上から新たな生年月日を書き込む。
それを再びコピーしたら、押しも押されもせぬ証明書の完成である。
それを旅行代理店に持ち込み、スカイメイトカードを申請すると数日後には21歳以下の君が出来上がるという寸法だ。代理店に友人(共犯者)でもいればより完全犯罪の率が高い。
しかし、その手の事は決して真似してはイケナイ。
エッ? お前もヤッタだろって?
志高きセーネンがそんな事する訳がない。(もう時効だろ!)

話が大きくそれてしまった。おお、そうだ恥ずかしいハナシであった。言っておくが恥ずべきハナシではないのだよ。

そんな訳で当時は偽造スカイメイトが大いに出まわり、それなりに市場の活性化に役立っていたように思う。
これはあくまで僕の想像だが、航空会社もその実態を見て見ぬフリの感があり、あまりおおっぴらに認めてしまうのも社会通念上よくないと考え、時々抜き打ち的に検査をする。

スカイメイト使用の怪しい老け顔男女に空港のチェックインカウンターで、
『お客様、干支は何でしょうか?』
などと係りのネーチャンがスルドク笑顔で聞いてくる。
しかしテキもさるもの、そんな事先刻承知。余裕のしたり顔で
『辰年生まれの21歳』
などと聞かれもしないことまで答えて、ゲートをいとも簡単にくぐっていく。

そして僕の21歳の夏。
正真正銘のホンモノスカイメイト証をもって名古屋に戻る為に那覇空港にたたずむ。
友人たち、ふるさと沖縄とのしばしの別れを惜しみ、この夏の思い出を一つ一つ胸に刻み込むように瞑想に浸り、悦に入っていた。まるで映画の主人公。

アナウンスがあった。
どうやら乗れるらしい。
チェックインカウンターへ向かう。なかなか美形のネーチャンだ。
スカイメイト証を差し出す。
すると突然。笑顔の美形ネーチャンがその笑顔とは裏腹の無慈悲な機械声で聞いた
『お客様、干支は何でしょうか?』
激しく動揺した。俺は21歳に見えないのか? 俺は老け顔か?
自分の容姿を恨んだ! 親を恨んだ! そして叫んだ!
『しし座ですっ!』
一瞬の静寂の後、大爆笑が起こった。
カウンター内の美形ネーチャンのほかに数人の係りの人がこの会話を聞いていた。
ネーチャンは7秒ほど腹を抱えて笑った後、やっと絞り出すような声で言った。
『けっ結構です! あっあちらからお進み下さい。よ、よい旅を。』
何せ純情な21歳の青年である。顔から火が吹いた。汗が滴り落ちた。
朦朧として飛行機に乗り込むこの時の僕は、瞬間血圧200は超えていたに違いない。

名古屋までのフライトがどのような物であったかは覚えていない。
ただ、小牧空港に降り立つ飛行機の中から見る濃尾平野に沈みゆく夕日がもの凄くきれいだった。傷心の俺は夕日に問うた。
俺はオッサン顔か?

おわり
Posted by 漫遊国 at 03:58 | Comments(3) | TrackBack(0) | わたくしごと

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この記事へのコメント
これは大丈夫です


私は某J社に友人が勤務しているから、かなりの年齢まで
偽造してもらってました(--;

自慢できることではありませんが・・・・・
Posted by 珊瑚礁 at 2008年07月09日 07:20
こんにちは JUNAGLE-Sです
青春の思い出 ← ん?アントニオソング?
例の遠い思い出の話かとおもいきや!
「しし座」ですは爆笑です
寝不足なのに!大爆笑してしまいました(笑)
素敵なお話ありがとうです
Posted by JUNGLE at 2008年07月10日 10:45
こんにちは!!
昨日真夜中、無事に横浜に戻りました。
おかげさまで、楽しいコザの時間を過ごすことが出来ました。
次回は宿泊もお世話になります♪

夫は「夢のように過ぎていった」と今朝、朝食を食べながら
つぶやいていました。
よほど楽しかったのでしょうね(笑)
ありがとうございました。

私も、辰年です(笑)
Posted by 岡村@嫁 at 2008年07月15日 13:50